WW1(第一次世界大戦)双六

 
絵双六は学習することを目的に発展してきた歴史があります。遊びの要素が覚えにくい内容に楽しむアプローチを与えてくれるからです。もちろん現在にもその目的は継承され、数多くの学習双六が見受けられます。ただ、双六が子どもの遊び的なイメージがが強いため、どうしても児童向けが多いのが特徴です。

当会はもう少し難しい内容、テーマが重複した学習双六を作成することに挑戦し、その第一弾が「WW1(第一次世界大戦)双六」です。
第一次世界大戦は日本の被害が非常に少なく、ヨーロッパの戦争ともいわれていますが、現在の世界の枠組みを決めてしまった戦争です。この時代、武器の需要ともに科学力も飛躍的に発展を遂げました。皮肉なことですが、武器の発展が人類の科学の発展の歴史ともいえるのです。
また、世界大戦はどの戦いも重要で、それぞれが複雑に関係し世界を変えていきました。それゆえに全体像を掴むことが難しいのです。双六の役割のひとつは表です。そしてそれぞれの関係性を表すことができる強みもあります。
歴史的関わり合い、文献、映画などの参考内容紹介も取り入れて、遊びながら第一次世界大戦の流れを体感することにも力を入れました。
この双六の重要なところは、日本の現在を調べてみる質問が含まれているところです。
そろぞれが双六で遊びながら考えてみる機会も提示しています。内容は冊子にまとめ、下記の写真のように内容を確認しながら遊んでみる試みです。
双六の盤面から全体像を掴み、盤面の象徴的なイラストが示す内容を冊子で読み解く、歴史の多重性と立体性を追求してみました。


 

科目を受ける前に、受けた後に遊んでみたい双六

冊子を確認しながら遊び、学ぶ。

石斧がスタートの0地点。絵マス数は94、欄外の原子爆弾のシルエットマス(第二次世界大戦へと繋がっていく事項にコマが入るとこちらに移動)中央の上りマスには、ウィストン・チャーチル著『危機の世紀』予言的な名言を記載しています。
まず、サイコロを振って遊んでみる、外枠に戻れや進め指示の意味でGo to Noが記載されています。進み方、戻り方には繋がりがあります。
4つの十字には日本の武器輸出や防衛などの質問があり、興味喚起を促しています。確認しながら進むので、スイスイと遊ぶというわけにはいきませんが、どうしてここに進むのか、戻るのかの理解で歴史へてがかりがつかめます。
高校生たちに、まず遊んでもらいました。時間内に上がる人がでなかったようですが、学ぶ前、学んだ後にまた遊びたいという感想が多数を占めました。


ゲームルールは冊子と共に  (画面クリックで拡大)

43のPoison Gas、ガスマスクイラストを例にしてみましょう。冊子No43には、毒ガス 大量破壊兵器の時代へ となっています。毒ガスが一つの兵器の方向性を示しました。Go to Back No29 の指示となっています。双六盤にもガスマスクイラストの下に記されています。 
では29に戻ってみましょう。冊子には、第一次世界大戦で初めて使われた毒ガス、「プロモ酢酸エステル」1914年/8月 となっています。
少し進んで、No46に移ります。フセイン=マクホマン協定1915/10/24 イギリスが、オスマン帝国の支配下にあったアラブ地域の独立と、アラブ人のパレスチナでの居住を認めた協定。イギリスの三枚舌外交を表すのに、しばしば引き合いに出されます。背景その他にGo to WW2へと書かれています。今も続くパレスチナ問題の火種を残したこの協定は次の世界大戦へと繋がっていきます。双六盤外に記されたWW2に移動する指示です。ここに入るとサイコロの偶数の目が出るまで戻ることはできません。


WW1双六 副読本としての冊子51頁

1頁から4頁までPdfで内容をご覧いただけます。表紙下のページ記号をクリックしてください。