兵庫県は江戸時代、酒造りで栄えた歴史を持っています。上方(大阪)から江戸(東京)に船で運ばれた酒は「下り酒」と呼ばれ、一世を風靡しました。今も酒造りの盛んな地、兵庫の酒の歴史をめぐる双六です。

 兵庫県には白鶴、白鹿、白鷹、白雪、大関、剣菱、日本盛、菊正宗など全国区の酒造メーカーがあり,灘や伊丹など阪神間と呼ばれる地域に集中しています。江戸時代,「下り酒」と呼ばれて江戸に運ばれ、この地区に大きな富をもたらしました。
伊丹市では清酒発祥の碑が立つ文芸と酒の関わりが深い地域。西宮市は酒造りに適した奇跡の水「宮水」が湧いています。兵庫県では銘酒の酒米に選ばれる「山田錦」を生み出しており、今も酒造りが盛んです。
六甲山を背に広がる阪神間地区は良質な水と六甲おろしという冷たい風が吹く気候風土が酒造りに向いていました。山を越えて広がる農業地帯は米作りと、酒を造る杜氏を送り出す地域となっています。眼下には海。江戸への海路として広がっていました。
富を得た酒造家は地域を整備したり、学校を建てました。日本で一番偏差値の高い高校、灘高校もその一つです。地域文化への還元、酒専用の船、樽廻船の歴史、水車精米や水売り、初の瓶詰などの物語が評価されて日本遺産にも認定されました。
兵庫県の歴史は酒造りと共に歩んできました。兵庫阪神間の歴史、地域文化を学ぶ入口として「兵庫の酒」双六を作成いたしました。


兵庫の酒「大型すごろく遊び」

独立行政法人子どもゆめ基金による助成活動

画面クリックで拡大します

大型双六による和文化へのアプローチを基本に、兵庫の歴史の一環として「兵庫の酒」をテーマにしました。地域文化の歴史を楽しく学ぶことを目標にしています。
参加者自身がコマになり大きな絵マスを見ながら上りを競うルールです。
伊丹市教育委員会の協賛も頂戴しました。

伊丹市の重要文化財である旧岡田家住宅・酒蔵での開催はテーマにもぴったりで歴史を体感できる雰囲気も十分。バックミュージックに伊丹市で活動されておられる尺八「悟空会」お琴の先生、コーラスグループの皆さんのご協力を得て、スクリーンに流し雰囲気を盛り上げるます。
重要な絵マスには説明部も添えていますので、遊ぶだけではなくじっくりと見て読んで学ぶことができます。
チラシは旧岡田家住宅の入口に当会のロゴマーク暖簾をかけたイメージで描いています。内部はイベントを行える他に伊丹市の酒造りの資料などを展示しており、無料で公開されています。
ベイコムの地域ニュースで放映されました。雰囲気をご覧いただけます。
 

大型双六絵マス(一部)

日本遺産、伊丹諸白「澄み酒」

日本遺産に認定された「伊丹諸白と灘の生一本」。六甲山を背にした伊丹市、灘地域は今も日本酒の名産地です。江戸時代を席捲する「下り酒」の先陣を切ったのが「伊丹諸白」でした。麹と掛米にも精白米を贅沢に使った澄んだ酒「伊丹諸白」は珍重されたのです。将軍の御膳酒となり「丹醸」と呼ばれるようになりました。中でも伊丹酒の三大酒「剣菱、男山、七ツ梅」は旨い酒の代名詞となり、川柳の題材にもなっています。「帯解きの祝儀の酒も七ツ梅」。この絵は北斎漫画、七ツ梅の酒樽を持ち上げる図を模写したものです。

くだらないの語源

大阪から運ばれる酒は「下り酒」と呼ばれました。天皇がおられる都(京都)は上となり、江戸(東京)に行くことは下ると言われたのです。江戸初期は幕府によって新しく作られつつある巨大都市でした。すでに文化も製品も出来上がっていた大阪からたくさんの商品が江戸に運ばれたのです。歴史の浅い江戸より上質な物が多く、「下り物」は良い物でした。「下らない物」は良くない、「くだらない」はつまらないもの、という意味となったのです。中でも酒は特別に美味しく、江戸で働く男衆、垂涎の品でした。

新酒番船

初物好きの江戸っ子は、味の良しあしは二の次に、我先に新酒を飲みたがったため新酒番船レースが始まりました。西宮港から各酒蔵の新酒を積み込み、江戸に向けて一斉に出向、一番先に届いた酒に一年間高値がつき、荷役も優先されました。
一番船の水主たちは赤い半纏を着て「惣一番」の幟を立て、太鼓をたたきながら練りまわる大人気の行事でした。


大型双六の参加者には説明文をお渡ししています。一部をごらんください。画面クリックで拡大します。


伊丹市立図書館ことば蔵にて展示

文化庁の日本遺産を記念して伊丹酒に関わるボード40枚を、伊丹市立図書館ことば蔵のスタッフ右近さんのご提案で貸出展示させていただきました。
コロナ禍で図書館でのイベントも難しい時期、「イラストを見ながら伊丹酒の歴史を学んでもらうのにぴったりです」と、嬉しい要望で実現しました。
2020年7月29日の大阪読売新聞にも紹介され、興味深く見学してくださった方もたくさんおられたとお聞きしています。


貼って仕上げる「伊丹のお酒すごろく」

児童向けにパーツを切り離し、お話やクイズに答えながら張り付けて仕上げる双六を提供しています。コロナ禍では家でダウンロードして印刷しYouTubeを見ながら作成できるようにしています。詳しくはトップページをご覧ください。


貼って仕上げる「西宮のお酒すごろく」

作り方は同じです。兵庫の酒の特徴として重なるパーツが多くあります。西宮独自の酒文化、歴史では「宮水」の発見があります。西宮の地形条件が「宮水」が湧き出た要因なのです。海に近い立地から酒蔵の大関が私財を投じて作り上げた「今津灯台」は最古の木造灯台として残っています。
残念ながらYouTubeとダウンロード公開はありません。


伊丹酒歌留多

兵庫の酒「大型双六遊び」から伊丹とお酒の豆知識を付け加えたカルタを作成しました。切り離して遊べる仕様です。ダウンロードで印刷して遊ぶことができます。